インターネット上の肝硬変の末期症状を綴るブログや、過去に病を公表した芸能人の肝硬変闘病記には、病勢が最も過酷な時期の壮絶な日常が克明に記されています。特に患者を苦しめる三大症状が「腹水」「黄疸」「肝性脳症」です。
腹部が妊婦のように膨れ上がる腹水は、激しい息苦しさや内臓の圧迫感、激痛を伴います。現在、肝硬変に伴う腹水の治療法としては、従来の利尿薬(ループ利尿薬やアルドステロン拮抗薬)に加え、バソプレシンV2受容体拮抗薬の併用や、溜まった腹水をろ過して有用なタンパク質だけを体内に戻す腹水濾過濃縮再静注法(CART)が確立されており、患者のQOL向上に寄与しています。
また、皮膚や眼球結膜が黄色く染まり強い皮膚掻痒感を伴う肝硬変による黄疸の改善には、減黄処置や肝庇護療法の徹底が欠かせません。さらに、解毒されなかったアンモニアが脳へ回ることで引き起こされる肝性脳症の経過は、昼夜逆転や物忘れから始まり、進行すると異常行動や昏睡に陥るため、患者本人だけでなく見守る家族にとっても極めて精神的負担の大きいハードルとなります。合成二糖類(ラクツロース)や難吸収性抗菌薬を用いた腸管内環境のコントロールが治療の要となります。