トレンデレンブルグ徴候と歩行の真実|デュシェンヌとの違いと臨床評価

トレンデレンブルグ徴候と歩行の真実|デュシェンヌとの違いと臨床評価

トレンデレンブルグ徴候と歩行の真実|デュシェンヌとの違いと臨床評価に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。

回復期リハビリテーション病棟や整形外科クリニックの臨床現場において、セラピストが直面する最大の壁は「単なる筋力測定(MMT)の結果と、実際の歩行動作が必ずしも一致しない」という現象です。

徒手筋力検査(MMT)で中殿筋が「Good(4)」以上と判定されても、歩行を開始すると鮮明なトレンデレンブルグ歩行が現れる症例は日常的に見られます。このギャップが生じる最大の要因は、非荷重位(側臥位など)での単関節外転運動と、荷重位における足部・膝関節・骨盤・体幹が連動した閉鎖運動連鎖(CKC)での筋活動制御が全くの別物である点にあります。

医療従事者への現場ヒアリングや症例検討会でも、「ベッド上での外転筋力訓練を何百回繰り返しても歩行時の骨盤下垂が改善しない」という悩みが頻繁に挙がります。歩行時の立脚初期から中期にかけては、足圧中心(COP)の移動速度、距骨下関節の回内・回外のタイミング、大腿骨の内旋制動など、下肢全体のキネマティクスが中殿筋の発火タイミングに直結します。中殿筋の筋力そのものだけでなく、「必要な瞬間に適切な張力を発生させる運動制御(モーターコントロール)」が欠如していれば、徴候の消失には至りません。

小林 直樹
著者

小林 直樹

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