「食事が終わったらナプキンをきれいに畳んで帰る」というのは、日本人の几帳面さから生まれがちな最大の勘違いの一つです。西洋のプロトコールにおいて、テーブルマナーでナプキンを畳まない理由には明確なメッセージが存在します。
歴史的な背景として、食後にナプキンをきれいに四角く折り畳む行為は、「料理やサービスに満足できず、退屈でナプキンを丁寧に畳む時間があった」「もう二度とこの店には来ない」という皮肉・不満のサインとされてきました。逆に、ナプキンを適度に崩して置くことは、「ナプキンを畳むことを忘れてしまうほど料理と会話に夢中になり、素晴らしい時間を過ごせた」というシェフやスタッフへの最大の賛辞を意味します。
都内一流ホテルのチーフソムリエは現場の実感を次のように語っています。
「お客様がナプキンを端をつまんで軽くふわりと崩し、テーブルの左側やデザート皿の右脇に置かれているのを見ると、サービス側としては『コース全体を心から楽しんでいただけた』と確信し、非常に誇らしい気持ちになります。几帳面に角を揃えてピシッと畳まれていると、マナーの知識としてではなく心理的な距離感を感じてしまうこともあります。」
ただし、グシャグシャに丸めて放り出したり、料理の油やソースで激しく汚れた面を表にして置くのは品格に欠けます。ナプキンの角をあえて少しずらし、使用した汚れが見えないよう内側に軽く折り込んでテーブル上に置くのが、最も洗練されたナプキンの置き方(食べ終わり)です。