ネット上で拡散されている「眠気覚ましの裏ワザ」の中には、医学的根拠に乏しいばかりか、かえって強い眠気や健康被害を誘発する危険な俗説が散見されます。代表的な誤解の筆頭が「冷水で顔を洗えば完璧に冴える」という説です。
休み時間に洗面所で顔をバシャバシャ洗う行為は、その瞬間こそ冷感によって意識が戻りますが、皮膚の表面温度が急激に下がると、人体は体温を元に戻そうとして血管を拡張させます。結果として顔面や頭皮に熱が集まり、教室に戻って席に着いた数分後には、血圧低下と心地よい温まりによって最初の何倍もの猛烈な眠気が跳ね返ってくる「リバウンド現象」を引き起こします。顔全体を濡らすのではなく、耳の軟骨を揉む、あるいはハンカチで冷水を首筋の血管に数秒あてる程度にとどめるのが生理学的な正解です。
また、「ミント系タブレットの大量摂取」も落とし穴を孕んでいます。人工甘味料を短時間で多量に摂取すると腸内環境を乱し、急激な腹痛や集中力低下の引き金になります。強烈なメントールで覚醒を狙う場合は、噛み砕いて内臓に負担をかけるのではなく、上あごの奥に貼り付けてゆっくり溶かし、嗅覚と三叉神経をじわじわ刺激し続ける使い方が賢明です。