意図的な不正はもちろんのこと、不注意や知識不足による「意図せぬ倫理違反」であっても、学位取り消しの対象となり得る時代だ。若い研究者や大学院生は、自己防衛のための必須知識を身につけなければならない。
まず徹底すべきは、引用と補足の厳格な区別だ。他者のアイデアや文章を使用する際は、引用元を明確に記載し、どこまでが自説でどこからが先行研究かを明確に区別する習慣が求められる。パラフレーズ(言い換え)を行う際も、単なる単語の置き換えでは盗用とみなされるリスクがある。
また、実験データやアンケート結果のローデータ(生の記録)は、改変不可能な形式でバックアップを取り、第三者が再現可能な形で保管することが不可欠だ。「データが消失した」という弁明は、現在の審査基準では不正の隠蔽とみなされる可能性が高い。指導教員や共同研究者とのオープンなコミュニケーションを保ち、研究プロセス全体の透明性を確保することが、最大のリスクヘッジとなる。