物語の根幹を成すのは、ナオミが立案した冷徹かつ緻密な「DV夫殺害計画」でした。日常的にカナコへ苛烈な暴力を振るい、精神的・肉体的に追い詰めていた夫・達郎。ナオミは親友の命を救う唯一の手段として、達郎の完全消滅を企てます。
計画の要となったのは、達郎と瓜二つの顔を持つ中国人不法滞在者・林竜輝(高良健吾の一人二役)の存在でした。達郎を絞殺して遺体を山中に遺棄した後、林に達郎の服を着せて防犯カメラに映らせ、銀行口座から現金を引き出させて「達郎が会社の金を横領して中国人愛人と海外へ高飛びした」ように見せかける偽装工作を実行したのです。
完璧に見えた計画を瓦解させたのは、達郎の姉・服部陽子(吉田羊)の異様な執念でした。弟が失踪する直前の些細な違和感を見逃さず、興信所の調査員を雇って徹底的に身辺を洗った陽子は、防犯カメラ映像の「歩行速度の違い」や「筆跡の差異」、さらにはナオミのマンションの防犯カメラに映る林の姿を突き止めます。陽子の鬼気迫る追及によって外堀を埋められ、ついに警察を動かすまでに至ったスリリングな攻防戦は、本作屈指の見どころです。