髭抜きによって生じる歯痛の正体は、顔面の感覚を司る「三叉神経(さんさしんけい)」のメカニズムにあります。三叉神経は脳から直接伸びる脳神経の一つで、顔全体を3つのルートに分かれて覆っています。
特に下あごや口周りに分布しているのが、第3枝にあたる下顎神経(かがくしんけい)です。この神経は、顎髭が生えている皮膚の毛根周辺だけでなく、下顎の歯や歯茎、舌の知覚神経とも同じ幹で一本につながっています。
毛根を無理やり引き抜くと、毛根周辺の知覚受容体から非常に強い痛覚刺激が下顎神経へと送られます。この強力な信号を受け取った脳が、痛みの発生源を正確に特定できず、「歯から痛みが来ている」と勘違いを起こす現象が生じます。医学的にはこれを「関連痛(放散痛)」と呼び、これが髭抜きによる歯痛の物理的な正体です。