スーパーセルがこれほど強大なパワーを維持できる最大の理由は、雲全体が直径数キロメートル規模で渦を巻く「メソサイクロン(組織化された低気圧性回転上昇気流)」を内部に抱え込んでいる点にあります。
メソサイクロンが発生する絶対条件は、地表付近の風と上空の風で風向・風速が大きく異なる「強い鉛直ウインドシア(風の鉛直シア)」が存在することです。地表近くで水平に巻いていた空気の渦が、猛烈な上昇気流によって垂直に立ち上げられることで、雲全体を巻き込む巨大な回転軸へと変貌を遂げます。
かつて日本では極めて稀とされていたスーパーセルの発生理由には、近年の気象環境変化が直結しています。日本近海の海面水温の上昇に伴い、地表付近へ極めて湿った暖気が大量に供給される一方、上空には偏西風の蛇行によって氷点下の強い寒気が頻繁に流入します。大気の状態が極限まで不安定化しやすい土壌が整ったことで、日本列島はスーパーセルが容易に組織化される環境へとシフトしつつあります。