純粋な誠実さと、周囲を苛立たせる過剰な道徳観は、一体どこで分岐するのか。その境界線を分ける指標となるのが「承認欲求の混入」です。
純粋な正義感を持つ人は、問題の解決や再発防止そのものを目的とします。そのため、必要以上に公の場で誰かを恥じ入らせたり、自分の功績を誇示したりしません。しかし、承認欲求と結びついた正義感の場合、主目的は「正しさを主張して価値ある自分をアピールすること」にすり替わっています。
正義感が強い人の特徴を観察すると、承認欲求が強いタイプには明確な傾向が見受けられます。
自らの道徳的是非をアピールしたい人は、あえて大勢の同僚がいる社内チャットや会議の席で他人のミスを論うなど、「衆人環視の場」を選んで糾弾劇を繰り広げます。ネット空間における反応を見ても、「ルールを守れない奴は徹底的に晒し上げて社会的制裁を加えるべきだ」と息巻くアカウントの多くは、正義の旗印を借りて自らの有能感や特別感を誇示しようとしているケースが目立ちます。周囲は言葉遣いの端々からその透けて見えるエゴを感じ取るからこそ、反発と嫌悪感を覚えるのです。