インターネット上の当事者コミュニティやSNSで頻繁に語られるのが、「流産後は妊娠しやすい体質になる」という言説です。この現象には、完全な迷信とは言い切れない一定の生理学的・心理的背景が存在します。
第一に、「妊娠成立の事実そのものが証明された」という生殖能の確認です。特に妊活を長く続けていたカップルにとって、一度でも受精・着床に至ったことは、卵管の開通性や受精能力、初期の着床環境がある水準をクリアしていることを示します。初期流産の約8割以上は胎児側の染色体異常によるものであり、母体の受容能力そのものが損なわれているわけではありません。
第二に、流産による急激なホルモン変動に伴う「リバウンド現象」です。妊娠によって高まった血流動態や、胎盤絨毛から分泌されていたホルモン刺激が消失する過程で、視床下部・下垂体・卵巣系のフィードバック機能が刺激され、一時的に卵胞発育を促すホルモン分泌が活発になるケースが臨床的に観察されます。
第三に、子宮内膜のリフレッシュ効果です。稽留流産後の処置や自然排出を経て、古くなった内膜組織が一掃されることで、次の周期に新鮮で厚みのある子宮内膜が再構築されやすい土壌が整うという側面もあります。ただし、これらはすべて「母体の回復が円滑に進んでいること」が大前提となります。