お気に入りの花色や花形をそのまま残せる「パンジーの挿し芽」は、コツさえ掴めば非常に再現性の高い増殖法です。秋口に行う「パンジーの摘心・切り戻し」でカットした茎を活用すれば、親株の枝分かれを促して花数を増やしつつ、同時に新しい苗を生産できる一石二鳥のメリットがあります。
挿し芽を成功させる決定打となるのが、用土の無菌化と発根促進剤の活用です。発根部となる切り口には、オーキシン系植物ホルモン製剤である「ルートン(発根促進剤)」を薄く塗布します。これにより未分化のカルス形成が促され、発根までの日数を大幅に短縮できます。
水に浸けて根を出させる「水挿し(水耕)」を試みる園芸ファンも多く存在します。パンジーの挿し木を水挿しで行う場合、透明な容器で発根の過程を観察できる面白さがある反面、水中で生えた根は土壌環境への適応力が弱く、鉢上げ時に根毛を傷めて枯死させるリスクが跳ね上がります。確実な定着を狙うなら、最初から無菌の清潔な土に挿す「土挿し」を強く推奨します。
パンジーの挿し芽で失敗する最大の原因は、「肥料焼けによる切り口の腐敗」と「葉からの過剰な蒸散」です。栄養を求めて肥料入りの培養土を使うと、切り口から雑菌が侵入して黒変・腐敗します。また、葉の枚数が多すぎると根のない茎から水分が蒸発して萎れるため、挿し穂の下葉は取り除き、上部の本葉を2〜3枚程度に減らして蒸散面積を抑えることが決定的なコツとなります。