歴代映画ドラえもんを語る上で避けて通れないのが、昭和・平成初期の名作を現代のスタッフが再構築した「リメイク作品」の評価です。「昔のほうが味があった」「リメイク版のほうがテンポが良くて見やすい」という意見はネット上でも頻繁に対立しますが、両者を冷静に比較するとそれぞれに異なる作家性が存在します。
大山のぶ代時代のオリジナル版は、「静寂の演出」と「未知への恐怖感」が際立っていました。例えば1984年の『のび太の魔界大冒険』におけるメジューサの恐怖や、1983年の『のび太の海底鬼岩城』におけるポセイドンの無機質な狂気など、トラウマすれすれのダークなトーンが子どもの冒険心を本気で刺激していました。
一方、水田わさび体制のリメイク版は、「登場人物の心理的動機づけの補強」と「アクション演出のダイナミズム」に重きを置いています。『新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』(2014)では巨神像のバトルシーンに圧倒的なスピード感が付加され、『新・のび太の日本誕生』(2016)では原始人少年・ククルとの友情や、のび太がペットたちに注ぐ「親心」の描写が大幅に掘り下げられました。
どちらが優れているかという二項対立ではなく、「重厚な空気感と余白を味わう旧作」「感情移入のしやすさと圧倒的作画を楽しむリメイク」という明確な特徴の違いを理解して観比べることこそが、ドラえもん映画を最も深く味わうアプローチです。