拝殿前の広場でひときわ人だかりを集めているのが、八角形の石柱に十干十二支が刻まれた「方位石(ほういいし / 古殿地)」です。ここは昭和11(1936)年の社殿造営まで、神霊が鎮座していたかつての御本殿跡地にあたる最も神聖な結界です。
ネット上の掲示板やSNSでは、「金運を上げるには特定の干支の順に触る」「仕事運なら特定の文字を3回撫でる」といった細かな手順が広く出回っています。しかし、現地の神職や神社の公式案内において、そうした複雑な触り順の指定やオカルト的な決まり事は一切存在しません。
境内の案内板や宮司の講話等でも言及されている通り、方位石は八角の方位盤を通じて「森羅万象の方位を司る猿田彦大神の神徳」を象徴するモニュメントです。特定の手順に囚われて他者を押し除けたり順番を独占したりする行為は本末転倒であり、自身の干支や祈願に関わる方位、あるいは石全体に静かに手を添え、感謝の念を捧げることこそが本来の敬意の表し方です。