設計やリフォームを行ううえで見落としてはならないのが、屋根の有無と建築基準法の関係性です。屋外空間の形状によって、建物の「建築面積」や「延床面積」への算入基準が劇的に変化します。
国土交通省が定める建築基準法施行令第2条に基づき、バルコニーやベランダの延床面積の計算方法には明確な「2メートルルール」が適用されます。外壁の後退線から突き出した長さが2メートル以下であり、かつ手すり壁の高さや開放性の基準を満たしている場合、その突出部分は延床面積(床面積)に算入されません。しかし、張り出し幅が2メートルを超える場合、先端から2メートル後退した部分より内側のスペースは延床面積としてカウントされます。
注意すべきは、屋根の存在です。建物の躯体と一体化した屋根を持つインナーバルコニーや、三方を壁で囲まれた構造の場合、2メートル以下であっても「居住空間と同等の閉鎖性がある」と判断され、床面積へ全額算入される可能性が極めて高くなります。床面積が増加すれば、建蔽率(建ぺい率)や容積率の上限に抵触するリスクが生じるだけでなく、毎年課される固定資産税の評価額が跳ね上がる要因にもなります。
また、既存のバルコニーを囲ってサンルームへ改築する計画も注意を要します。一般的なサンルームへのリフォーム費用は施工規模に応じて約50万〜150万円が相場ですが、ガラスで囲うことで「完全な屋内空間」へと用途変更されるため、増築扱いとなり確認申請が必要になる事例が多発しています。未申請のまま工事を行うと違法建築物とみなされ、将来的な売却時に資産価値を著しく損なう危険性があります。