『ゴールデンカムイ』の物語が佳境に入るにつれ、多くの読者が固唾をのんで見守ったのが「白石は最後まで生き残れるのか」という点でした。刺青囚人が次々と命を落とし、主要登場人物ですら容赦なく退場していく過酷な世界観の中で、戦闘能力が極めて低い白石には常に濃厚な死亡フラグが立ち込めていました。
樺太編でのキロランケとの別れや、五稜郭での最終決戦など、白石が絶体絶命の危機に瀕する場面は幾度もありました。しかし、彼は持ち前の悪運と土壇場での機転、そして何より杉元佐一やアシㇼパとの深い絆によって生き延びます。単なるお笑い要員ではなく、命がけでアシㇼパを救出に向かう姿や、杉元の狂気を和らげる精神的支柱としての姿は、読者に「白石だけは死なないでくれ」と強く願わせる決定的な要因となりました。
そして迎えた最終回、白石由竹の最後は見事な生存を遂げます。それだけでなく、物語の核心である金塊の行方に関して、読者の度肝を抜く大立ち回りを演じました。権利書争奪戦の裏で、白石は密かに流通していた金貨の一部を回収。その後、東南アジアの小島へと渡り、莫大な富を元手に自らの王国を築いて「王様」として君臨するという、痛快極まりない結末を迎えたのです。杉元やアシㇼパに届いた手紙とコインの描写は、過酷な旅の果てに訪れた最高のカタルシスとして語り草になっています。