ランニングを始めたばかりの初挑戦者が最も陥りやすい罠が、「世間の平均タイムが4時間36分だから、自分も初戦は4時間半を目指そう」と設定してしまうことです。
統計データ上の平均値は、何年もトレーニングを積み、複数回のフルマラソンを完走してきた中上級ランナーの記録が合算されて形成されています。運動生理学的にも、ハーフマラソン(21.0975km)を走り切れる体力と、42.195kmを完走できる体力の間には単純な2倍以上の負荷格差が存在します。
初出場ランナーが最初から4時間半(1kmあたり約6分20秒)のペースを狙うと、25kmを過ぎたあたりで心拍数が急上昇し、脱水や筋痙攣によって制限時間内の完走すら危うくなるリスクが跳ね上がります。初マラソンの本質は「速く走ること」ではなく、「42.195kmを立ち止まらずに移動し続けるエネルギーと筋力をマネジメントすること」に他なりません。