「奈良といえば鹿」という期待を胸に訪れる人々は、東大寺の参道や南大門付近に集中します。しかし、この一帯にいる鹿たちは鹿せんべいを持つ観光客に慣れきっており、群れをなして衣服を引っ張ったり、背後から小突いてきたりと、時にアグレッシブな行動を見せることがあります。
小さな子ども連れのファミリーや、静かな環境で鹿の写真を撮りたい旅行者におすすめしたい奈良公園鹿スポット穴場が、公園中央南寄りに位置する「浮見堂(鷺池周辺)」および「吉城園・東大寺裏の戒壇堂周辺」です。
水面に映る六角堂が美しい浮見堂周辺は、東大寺前の喧騒からわずか徒歩10分ほど離れた場所でありながら、観光客の密度が一気に低下します。ここに生息する鹿たちは比較的穏やかで、木陰で静かに反芻(はんすう)行動をとる姿を間近で観察できます。春には桜、秋には紅葉が水辺を彩り、情緒豊かな1枚を撮影するのにも最適なロケーションです。
鹿せんべいを与える際は、せんべいをじらすように高く掲げず、速やかに手渡すのが安全の鉄則です。手持ちがなくなった際は、両手を広げて「もう何もない」というサインを鹿に見せることで、執拗な追尾を平和的に諦めさせることができます。