終身雇用が完全に過去の遺物となり、ギグワークとフリーランス化が日常に溶け込んだ現在の日本において、「組織が守ってくれる」という幻想は跡形もなく消え去った。だが、自由を手に入れたはずの人々は、代わりに際限のない不安の海へと放り出された。
生き残るためのスキルセット、タイパ、リスキリング。そんな言葉で武装しても、胸の奥底にある渇きは癒えない。結局のところ、自分がどこへ行きたいのかという意志が欠落していれば、どんな最新ツールもただの重荷にしかならないのだ。オールを握るというのは、他人の敷いた評価基準から降り、たとえ嵐に呑まれようとも自らの選択に殉じるという宣言に他ならない。