大手グルメレビューサイトやSNSコミュニティ、寿司通の生の声を集約すると、芽ネギ寿司に対する熱量は一般的な白身魚や光り物とは異なる独特の熱を帯びています。
「高級店で極上の大トロやノドグロを堪能した後、最後に芽ネギを頼まないと食事全体が締まらない」「あの細い茎が束になって一斉にプツプツと切れる感覚は、どんな魚介類にも代えがたい」という声が多数を占めます。近年では、東京の名店(銀座や赤坂、麻布十番などの一流鮨店)でも、コースのおまかせの合間に「箸休め(インターミッション)」として戦略的に芽ネギを挟む店が増加しています。
一方で、カウンターの現場を観察すると、職人の技術差が最も残酷に出るネタであることも見えてきます。芽ネギは水分を失いやすく、冷蔵庫で保管するだけでも数時間で萎れてしまいます。極上の店では、注文が入る直前に氷水でキュッと締め、極細の繊維を一本も潰さないよう優しく水気を拭き取り、ふんわりと空気を含ませながらシャリに乗せます。技術の拙い店で提供される「作り置きで海苔が湿気り、ネギが押し潰された芽ネギ」を食べた経験のある人が、「青臭いだけで何が美味しいのかわからない」とネガティブな印象を抱いてしまうケースがあるのも、このネタが極めて繊細である証拠です。