新幹線の16両編成は、陸上競技場のトラック1周に匹敵する巨大な移動空間です。改札口へつながる階段やエスカレーターはホームの中央寄り、具体的には8号車から11号車付近に集中して配置されています。端の号車である1号車や16号車に乗車した場合、降車後に階段へたどり着くだけで徒歩3分以上を要し、乗り継ぎの成否を分ける致命的なタイムロスにつながりかねません。
号車選びが移動の質を左右する理由は動線だけにとどまりません。車内の揺れやすさ、乗客の出入りの多さ、車内設備の配置も号車ごとに設計思想が異なります。両端の先頭車両(1号車・16号車)は空気抵抗を減らすノーズ形状の影響で客室空間が狭く、進行方向によって独特の揺れを感じやすい傾向があります。中間号車は台車間の重量バランスが安定しており、走行時の微振動が抑えられやすい特徴を持っています。
各駅停車タイプの「こだま」や速達型の「のぞみ」など、列車の種別によっても号車の役割は綿密にコントロールされています。どこに乗っても同じに見える車内空間ですが、客室ドアが開閉する頻度や通路を往来する車内販売・車掌の足音、さらには喫煙ルーム(現在は業務用スペースへ転用)跡地付近の人の滞留など、わずかな位置の違いが車内の居心地に直結しています。