インターネット上の掲示板やSNSでは、「茨城の隣にある千葉県や栃木県、群馬県にも出店すれば確実に流行るはずだ」「なぜ千葉の利根川を越えてこないのか」という疑問が長年議論の的になってきました。しかし、ここには流通業界の外からは見えにくい、シビアな採算分岐点の盲点が存在します。
千葉県北部(野田市や柏市、我孫子市など)は茨城県南部と川を挟んで隣接していますが、配送ルートの観点から見ると国道6号や16号の慢性的な渋滞エリアと重なります。大洗港や茨城県内の既存デポ(配送拠点)から千葉県内へトラックを走らせる場合、走行距離以上の時間ロスが発生し、1台のトラックが1日に回れる店舗数が著しく減少してしまいます。
また、コンビニ配送は「1ルートあたり何店舗を効率的に巡回できるか」という店舗密度の密度経済に支配されています。飛び地のように千葉や栃木へ数店舗だけを出店すると、配送コストが跳ね上がって店舗単位の収益を圧迫します。セコマが埼玉に進出したのも、茨城県坂東市や常総市方面から県境を越えて直進できる地理的連続性があったからこそであり、無計画な拡大を厳に戒める規律が保たれているのです。