離婚発表当時、ワイドショーのスタジオでは連日のように「若手ダンサーがスターを利用して売名し、用が済んだら捨てたのか」「年上妻の過干渉が若い夫を追い詰めたのか」といった二者択一の単純な善悪論が飛び交いました。週刊誌の記者が大澄賢也の滞在先を取り囲み、小柳ルミ子の元へは同情と批判が入り混じった声援が寄せられるなど、日本中がこの泥沼劇に熱狂しました。
当時の特番インタビューや手記で語られた生の告白を検証すると、外から見えたドロドロの愛憎劇とは異なる切実なリアリティが浮かび上がります。大澄賢也は当時、「毎朝目が覚めた瞬間から、ルミ子さんの期待に応えなければならない恐怖があった。自分が息をしていないような感覚だった」と語っており、小柳ルミ子もまた「全身全霊で愛し、すべてを注ぎ込んだ存在が離れていく絶望で、一時は生きている感覚すら失った」と吐露しています。
ネット上の掲示板や回顧録などで今なお語り継がれるこの破局ですが、現場の実態はどちらか一方に非があるような単純な破綻ではなく、完璧主義なプロフェッショナル同士が密室でぶつかり合った末の「表現者としての必然的な破裂」でした。