モデルとしての地位を確立した彼女が、表現者として爆発的な覚醒を遂げたのが2004年公開の中島哲也監督による映画『下妻物語』でした。ロリータファッションに命を懸ける主人公・竜ヶ崎桃子(深田恭子)と、ひょんなことから心を通わせる白百合のヤンキー少女・白雪イチゴ役を演じた土屋アンナは、スクリーンの中で凄まじい熱量を放ちました。
土屋アンナ 深田恭子との共演は、当時の映画界に極めて鮮烈なコントラストを提示しました。「お人形のような究極の様式美」を体現した深田恭子に対し、土屋アンナはノーメイクに近い荒々しい表情、特攻服に身を包んだ泥臭い啖呵、そして情に厚い純真さを体当たりで表現。初演技とは思えないリアリティと圧倒的な華で観客を圧倒しました。
この演技が高く評価され、彼女は第28回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞など、その年の映画賞の新人枠を総なめにしました。当時の製作発表会見で中島監督が「彼女の感情の瞬発力と動物的な勘は天才的」と絶賛した通り、作られた演技を超えた野生の存在感が、女優・土屋アンナの地位を瞬く間に頂点へと押し上げたのです。