加納典明が築き上げたキャリアは、日本写真史における「破壊と創造」の歴史そのものです。愛知県名古屋市に生まれた彼は、名城大学を中退後に写真の道を志し、スタジオアシスタントを経て独立。1960年代後半から70年代にかけて、広告写真やファッションフォトの世界で頭角を現しました。
彼の名を一躍全国区にしたのは、被写体の内面に潜む生々しい欲望や狂気を剥き出しにするポートレートおよびヌード写真集の数々です。従来の日本写真界が重んじていた「抒情性」や「静けさ」を真っ向から否定し、ハイコントラストで攻撃的なライティングと、被写体を挑発しながら極限の表情を引き出す手法は、当時の写真壇に強烈な衝撃を与えました。
1990年代に入ると、その鋭利なキャラクターがテレビ界に発見されます。ビートたけしやテリー伊藤ら気鋭の演出陣と組み、バラエティ番組で「暴言スレスレの本音を吐く危険な文化人」としてのポジションを確立。予定調和を嫌う彼の怒号は、バブル崩壊後の鬱屈した世相において視聴者にカタルシスを与え、写真界の枠を大きく飛び越えた社会現象となりました。