朝のメイク直後、あるいは通勤直後にファンデーションが肌から遊離してしまう現象には、明確な物理的・化学的要因が存在します。大手化粧品メーカーの研究開発者やトップヘアメイクアップアーティストへの取材から浮かび上がったのは、多くの人が無意識に陥っている「朝の3大トラップ」です。
第1の落とし穴は、スキンケア後の馴染ませ時間を置かずにメイクへ移行してしまう点です。化粧水、美容液、乳液、クリームと重ねた直後の肌表面には、浸透しきれなかった水分と油分の膜が不均一に残っています。この状態のまま下地やファンデーションを塗り重ねると、スキンケアの油分とベースメイクの油分・水分が肌の上で混ざり合い、乳化バランスが崩壊します。これが「塗ったそばから密着せず、ズルズルと滑って浮く」直接の原因です。
第2の落とし穴は、塗布時の「摩擦」と「手の圧」です。指先でファンデーションを横に擦り伸ばすように塗ると、角質層のキメが逆立ち、毛穴の凹凸にファンデーションが均一に入りません。肌表面に厚い膜が乗り、時間経過とともに表情の動きに耐えきれなくなってひび割れや浮きが発生します。
第3の落とし穴が「下地とファンデーションの相性」です。シリコーンオイル(ジメチコンやシクロペンタシロキサンなど)を主剤とする皮脂吸着系下地の上に、水溶性成分を多く含むリキッドファンデーションを重ねると、界面活性の不適合により弾き合いが起き、モロモロとしたカスが出たり、肌から浮き上がったりする現象が起こります。