フロマージュという言葉の浸透に伴い、インターネットやSNS上では事実とは異なる解釈が散見されます。代表的な3つの誤解を是正します。
誤解1:「フロマージュ=高級で特別なチーズ」である?
ネットの質問投稿などで頻繁に見られるのが「フロマージュはチーズの中でも高級なものを指すのか」という疑問です。これは完全な誤解です。前述の通りフランス語でチーズ全般を指す単語であり、現地のスーパーに並ぶ数百円の家庭用プロセスチーズもすべてフロマージュです。日本国内の店舗がプレミアム感を演出するためにフランス語表記を採用しているに過ぎず、言葉そのものに等級や格付けの意味はありません。
誤解2:「フロマージュブランはヨーグルトと同じ」である?
「フロマージュブランとはヨーグルトの高級版ではないか」という声も多く耳にします。外見は非常によく似ていますが、製造工程において微量の凝乳酵素(レンネット)を使用している点が根本的に異なります。乳酸菌の力だけで固めるヨーグルトに対し、フロマージュブランは酵素の力でタンパク質を網目状に凝固させて乳清を分離するため、酸味がカド立たず、生クリームのようなコクと厚みのあるテクスチャーが得られます。栄養学的にもタンパク質密度が高く、別物の乳製品です。
誤解3:「フロマージュクリュ」は単なるレアチーズケーキの気取り?
「クリュ(cru)」はフランス語で「生の・未加工の」を意味します。日本のいわゆる「レアチーズケーキ」とレシピ上の区分は重複しますが、フランス菓子の世界におけるフロマージュクリュは、単に焼かないだけでなく、「加熱殺菌されていないナチュラルチーズの生きた風味や芳醇さを極力壊さず仕立てる」という職人のフィロソフィーを内包しています。ゼラチンでガチガチに固めた安価なレアチーズとは異なり、スプーンですくった瞬間のフルフルとした繊細な保水性を重視して作られています。