一般的に「歌舞伎役者の妻は男の子を産まなければならない」というステレオタイプが根強く残っていますが、片岡愛之助さんが所属する上方歌舞伎の名門「松嶋屋」の実情は大きく異なります。
そもそも愛之助さん自身、歌舞伎の家柄の生まれではなく、一般家庭(実家はスクラップ工場経営)から子役オーディションを経て十三代目片岡仁左衛門に見出され、二代目片岡秀太郎の「芸養子(部屋子から養子)」として名跡を継承した異色の経歴を持っています。
自らが血縁を超えて芸の力で大名跡「片岡愛之助」を確立した当事者であるため、愛之助さんは常々「歌舞伎は血筋だけではない。やる気と才能のある弟子がいれば、その子を養子にして継いでもらえばいい」と公言しています。この柔軟な後継者観があるからこそ、紀香さんに対して実子出産を迫るような空気は周囲にも存在せず、夫婦の生き方が尊重されています。