池部良の凄絶な美学|過酷な戦争と死因の真相、高倉健が慕った理由

池部良の凄絶な美学|過酷な戦争と死因の真相、高倉健が慕った理由

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池部良の経歴を振り返る際、驚かされるのはその振れ幅の広さです。戦後復興期の爽やかな青年像から、文芸作品の倦怠感を帯びたインテリ、そして任侠映画のストイックな渡世人まで、時代ごとの空気感を的確に体現してきました。

1949年の今井正監督作『青い山脈』では、原節子とともに民主主義の夜明けを象徴する高校生・金谷六助役を演じ、日本中に社会現象を巻き起こしました。さらに成瀬巳喜男監督の『めし』(1951年)、小津安二郎監督の『早春』(1956年)、豊田四郎監督の『雪国』(1957年)といった日本映画の金字塔において、複雑な内面を抱える近代知識人の孤独と色気を完璧に表現しています。

1960年代に入ると、東映の任侠路線への客演という大胆なキャリアの転換点を迎えます。その集大成となったのが、映画代表作として名高い『昭和残侠伝』シリーズでした。東宝出身のモダニズムを漂わせる池部良が、東映の泥臭い任侠の世界に持ち込んだ「背筋の伸びたダンディズム」は、それまでのヤクザ映画の概念を根底から覆すことになります。

公開年代・代表作演じた役柄・作風当時の興行・批評データ映画史的価値・現代の評価青い山脈(1949年/東宝)金谷六助(旧弊な因習に立ち向かう健康的な旧制高校生)配給収入約1億4,000万円(当時歴代1位の特大ヒット)敗戦直後の日本人に希望を与えた青春映画の不滅の金字塔。早春(1956年/松竹)杉山昌二(平凡な日々に虚無感を覚える丸の内のサラリーマン)キネマ旬報ベスト・テン第6位選出小津安二郎作品における池部良の抑制された演技が国際的に高評価。雪国(1957年/東宝)島村(芸者・駒子と情事を重ねる虚無主義の日本舞踊研究家)キネマ旬報ベスト・テン第1位獲得川端康成のノーベル文学賞原作を完璧に具現化した文芸映画の頂点。昭和残侠伝シリーズ(1965〜72年/東映)風間重吉(高倉健演じる花田秀次郎と生死を共にする孤高の客分)全9作が東映の看板シリーズとして年間興行上位を独占「死に場所を求める男」の美学を確立。二大スターによる伝説のバディ。
松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。