見た目の美しさだけでなく、患部に「痛み」「違和感」「異様な拍動」が伴う場合は、単なる皮膚の衰えとして看過することはできません。感覚器や血流の異常が絡み合っている可能性が高いため、症状の現れ方から緊急度を峻別する必要があります。
二の腕の血管周辺がピリピリと痛む、あるいは電気が走るような痺れを感じるケースでは、血管そのものではなく、静脈に沿って走る末梢神経が刺激を受けている可能性が濃厚です。特に首(頚椎)の異常や、肩から腕へと抜ける神経・血管の束が筋肉や骨によって圧迫される胸郭出口症候群では、腕を特定の角度に持ち上げたり荷物を抱えたりした際に、二の腕の内側から前腕にかけて刺すような痛みや脱力感が生じます。
一方、血管がドクドクと拍動する感覚を覚える場合、解剖学的な見極めが極めて重要です。本来、目に見えて浮き出ている血管の多くは「静脈」であり、心臓のポンプ圧が直接伝わらないため、自発的に強くドクドクと脈打つことはありません。もし静脈と思われる部位が明瞭に拍動しているなら、動脈と静脈が異常な短絡路で結ばれてしまう「動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)」や、深部動脈の瘤化、あるいは強い炎症に伴う局所血流の激変が疑われます。
また、血管に沿って赤みを帯び、触れると硬い芯のようなしこりがあって痛む場合は、血栓性静脈炎の典型的な所見です。採血や点滴の静脈留置針を抜去した後に生じることも多く、静脈の内壁に生じた炎症と微小な血栓が痛みの根源となります。さらに、片腕全体がパンパンに腫れ上がり、皮膚が紫色に変色して強い鈍痛を放つ場合は、深部の太い血管が塞がる上肢深部静脈血栓症(パジェット・シュレッター症候群など)という極めて重篤な病態の恐れがあり、一刻を争う救急受診が必要となります。