現在、とりわけ30代40代メンズハイブランドバッグへの需要がかつてない高まりを見せています。この背景には、単なるファッショントレンドにとどまらない複数の構造的要因が存在します。第一に挙げられるのが、オフィススタイルの脱スーツ化です。セットアップや上質なニットといったスマートカジュアルが標準となるなかで、コーディネートの引き締め役として、クラス感のあるバッグが担う役割が格段に重くなりました。
第二に、度重なる定価改定がもたらした「早期購入インセンティブ」です。欧州主要メゾンの販売価格は原材料費や輸送コスト、為替の影響を受けて上昇を続けており、「欲しいと思った現時点が最も手頃である」という認識が定着しました。安価な消耗品を数年ごとに買い替えるよりも、上質なレザーや耐久素材を用いた名品をリペアしながら10年単位で使い続けるライフスタイルが、感度の高い大人たちの間で合理的な選択として支持を集めています。