名作バラエティの多くがTVerやHulu、U-NEXTなどの動画配信プラットフォームでリバイバルされる中、『元気が出るテレビ』のアーカイブ配信は現在も実現していません。これにはテレビ業界特有の3つの極めて高いハードルが存在します。
第1の壁は、一般出演者の権利処理(肖像権・許諾)の不可能性です。番組の主役であった高校生、商店街の店主、街頭で突然巻き込まれた通行人など、数千人に及ぶ素人の現在を特定し、デジタル配信の再許諾を得ることは物理的に不可能です。個人情報保護法が施行された現代において、無許諾での商用配信は訴訟リスクを伴います。
第2の壁は、洋楽を中心とした音楽著作権の処理コストです。ダンス甲子園では当時の最新ヒップホップやMCハマーらの世界的ヒット曲が、その他のコーナーでもビートルズや映画サントラが無数にBGMとして使われていました。地上波放送時は包括契約で処理できても、ビデオグラム化やネット配信では1曲ごとに莫大な権利使用料が発生します。音源の差し替えを行うと、当時のグルーヴ感や番組の魅力が根底から崩れてしまいます。
第3の壁は、現代の放送コードおよびコンプライアンス(BPO基準)との抵触です。早朝バズーカに代表される家宅侵入まがいのドッキリ、容姿や学歴を過激にいじる素人いじり、安全配慮義務を著しく欠いた体当たり実験など、当時の熱狂を支えた演出の多くが、現代の視聴覚規範では「ハラスメント」「危険行為」と判断されるリスクを孕んでいます。
結果として、2004年から2005年にかけて権利関係をクリアできた一部の名場面のみを厳選したDVD-BOX全数巻が発売されたのを最後に、まとまった映像を公式に視聴する手段は極めて限られた状態が続いています。