魅上照がなぜこれほどまでに極端な白黒思考に至ったのか。その理由は、彼の生い立ちと少年時代の過酷な経験に隠されています。
小学校時代、正義感に溢れる学級委員長だった魅上は、クラスのいじめっ子たちに毅然と立ち向かいました。しかし、その結果待っていたのは集団からの陰惨なリンチと孤立でした。中学校に進学しても状況は変わらず、理不尽な暴力に晒され続けます。そんなある日、魅上をいじめていた主犯格の生徒4人が、車を盗んで暴走事故を起こし、魅上の母親を巻き込んで全員死亡するという惨劇が起こります。
普通であれば母の死に打ちひしがれる場面ですが、魅上の心に芽生えたのは別の感情でした。いじめっ子という「悪」が消え去り、教室に平和が訪れた光景を目の当たりにした魅上は、「悪を削除すれば、世界は良くなる」という確信を得てしまいます。さらに、争いをやめるよう自分を諭していた実の母親すらも「悪に屈した弱者」として心の奥底で切り捨てていたのです。
この歪んだ原体験が、成長した魅上を「検事」という職業へ導き、同時に自らの手を下さず悪を裁く「キラ」という絶対的な存在への絶対的崇拝を生み出す土壌となりました。