クライマックスの無人島での決闘後、カーチスがポルコの顔を凝視して叫ぶ「おい、お前! 顔を……見せろ!」というセリフ。そしてポルコが口元を手で隠す仕草を見せるシーンは、彼の容姿に劇的な変化が起きたことを示唆しています。
ポルコが人間の顔を取り戻しつつあった理由は、フィオの純粋な信頼と、別れ際に贈られたキスにあります。フィオはポルコを「豚」として差別することなく、一人の誇り高き職人・飛行艇乗りとして心から尊敬し、無条件の好意を向けました。おとぎ話の「カエルの王子様」が王女のキスで呪いを解かれるように、無垢な愛と信頼を受け取ったことで、ポルコの心を蝕んでいた「自分は罰せられるべき豚である」という自罰的な認知の歪みが融解したのです。
劇中では、ミラノから飛び立つ前夜、弾丸に火薬を詰めるポルコが一瞬人間の顔(マルコの顔)に戻るシーンが存在します。彼が人間性を完全に喪失したわけではなく、他者と真摯に向き合い、生きる意味を前向きに見出した瞬間に呪いが解ける仕組みになっていたことが分かります。