この言葉を取り入れるにあたって、絶対に避けるべき重大な誤解があります。それは「不当な境遇や理不尽なハラスメントを我慢するための言い訳にしてしまうこと」です。
ネット上の相談コミュニティなどでは、「ブラック企業での過酷な労働やモラハラ上司に耐えるために『これも修行であり、日々是好日だ』と言い聞かせている」といった悲痛な声が見受けられます。しかし、これは禅が説く本質とは正反対の認知の歪みです。
禅における受容とは、現実を直視して「観察する」ことであって、自らを破壊する危険な環境に甘んじて居続けることではありません。危険が迫っているなら「今、逃げる」という行動を全うすることこそが、その瞬間を生きる実践です。
心理療法のひとつである「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)」やマインドフルネスの領域でも、感情を抑圧するポジティブシンキングの危険性と、現実をありのままに認める心理的柔軟性の重要性が指摘されています。「日々是好日」を自己犠牲の道具にしてはなりません。
【プロの結論】心の平穏を得る人・無理にポジティブを作ろうとして苦しむ人の判断基準
この教えを人生の力にできる人と、かえって心をすり減らしてしまう人の間には、明確な意識の違いが存在します。
【日々是好日を活かせる人の特徴】
- 他人の評価やSNSのタイムラインと自分の人生を比較しない人
- 失敗やミスが起きた際、「なぜ自分ばかり」と嘆く前に「今できる次の一手」に集中できる人
- 雨の日や静かな時間を退屈と思わず、その風情を味わえる人
【取り扱いに注意が必要な人の特徴】
- 悲しみや怒りといったネガティブな感情を「感じてはいけない」と抑圧してしまう人
- 「毎日充実していなければならない」という強迫観念に囚われている人
- 外部の理不尽な搾取や暴力に対して、防衛や問題解決を放棄してしまう人