母子感染症の専門外来やオンラインの当事者ネットワーク、SNSコミュニティでは、診断から出産に至るまでの葛藤と真実の記録が数多く共有されています。陽性告知を受けた直後は、ネット上に氾濫する極端な重症例や医学用語の断片に圧倒され、暗闇の中に突き落とされたような感覚を味わう人が圧倒的多数を占めます。
「陽性を知らされた夜は、胎動を感じるたびに涙が止まらず、夫と二人で絶望の中にいました。しかし大学病院の母子感染専門外来を受診し、アビディティ検査で過去の感染であることが判明した瞬間、張り詰めていた糸が解けました」(30代・第2子妊娠時に陽性を経験した女性の手記より)
サイトメガロウイルス陽性その後の経過を追跡した臨床調査によると、初感染が疑われたケースであっても、超音波で異常所見が見られず、羊水PCR検査で陰性を確認してサイトメガロウイルス陽性無事出産に至る家族は極めて厚い層を形成しています。さらに、仮に羊水からウイルスが検出され「胎内感染」が証明されたとしても、出生時に明らかな症状を伴わないケースが8割を超えています。
仮に生後、先天性感染症の確定診断を受けた場合でも、早期の尿スクリーニングによって新生児聴覚スクリーニングのフォローアップ体制が整えられ、必要に応じた早期介入(抗ウイルス薬投与や言語聴覚療法など)を行うことで、健やかな発達を支える医療ネットワークが確立されています。「陽性=重度障害」というステレオタイプな恐怖は、現実の臨床経過と大きく異なっていることが現場の観察からも裏付けられています。