近年、大学病院や専門眼科の臨床現場で急速に警鐘が鳴らされているのが、スマートフォンによる急性内斜視の多発です。以前の内斜視といえば先天的な要因や乳幼児期の疾患が主因でしたが、現在は10代〜20代の若年層、さらに未就学児が突如として発症するケースが後を絶ちません。
SNSや保護者コミュニティでは、痛切な現場体験が相次いで投稿されています。
「中学に入り、毎日布団の中で4時間以上スマホ動画を見ていた息子の黒目が、ある朝完全に内側に寄っていた。物が二重に見えて歩行すら困難になり、結局全身麻酔で眼筋を縫い縮める手術を受ける羽目になった」――こうした生々しい報告は、決して特殊な事例ではありません。
日本弱視斜視学会などの調査研究でも、至近距離(画面と目の距離が20cm以下)で1日4時間以上スマートフォンを使用し続けた若年層において、内直筋(黒目を内側に引っ張る筋肉)が過度に通電・拘縮し、外側へ戻らなくなる機序が指摘されています。初期段階であれば完全なスマホ遮断によって自然治癒する例もありますが、半年以上放置した症例の多くは、外科手術で筋肉の位置を付け替える処置を余儀なくされます。