数字や線路図だけでは見えてこない、現場のリアルな光景を取材すると、直通化から10年以上が経った今だからこそ定着した通勤者の「知恵」と「嘆き」が浮き彫りになります。
品川駅9・10番線ホームの日常風景
夕方から夜間の帰宅ラッシュ時、品川駅の常磐線専用ホーム(9・10番線)には独特の空気が流れています。東海道線の本線ホーム(11・12番線)が横浜方面へ向かう通勤客で殺気立つ中、常磐線ホームは始発列車を待つ乗客が整然と列を作っています。
「新橋や東京から乗ると満員で座れないが、品川まで数分戻って始発のE531系に並べば、柏や取手まで確実に着席して帰れる」——これは都心勤務の常磐線ユーザーにとって定番の通勤ハックとなっています。始発駅としての品川駅は、疲弊したビジネスパーソンにとってのシェルターとして機能しているのです。
SNSや現場で聞かれるリアルな本音
ネット上のコミュニティやSNSに投稿される利用者の声には、直通の恩恵を噛み締めつつも、不測の事態に翻弄される姿がリアルに描かれています。
- 「東京駅まで直通で行けるようになって人生が変わったのは事実。でも雨の日に限って『直通運転中止』になり、結局上野の長い連絡通路を走らされる羽目になる」(30代・柏市在住・丸の内勤務)
- 「直通の品川行きは北千住でドアが閉まらないほど混む。上野行きなら次の電車で座れることもあるから、急ぎでない日は迷わず上野行きに乗るようにしている」(40代・松戸市在住)
- 「横浜に行く用事がある時、品川止まりだと知らずに乗って寝過ごし、留置線に引き上げられそうになって焦った。東海道線直通だと思い込んでいる人は未だに多い」(20代・水戸市在住)