「いた!」「逃げられた!」――雑木林のあちこちから、悔しさと興奮の入り混じった声がこだまする。園内の一部エリアでは、網とカゴを持った子どもたちが本気で獲物を追う「昆虫採集」が許されている(持ち帰りは不可、観察後に放流するキャッチ&リリースが基本ルールだ)。
アルゴリズムが好みを予測し、思い通りの答えを瞬時に返してくれる現代社会において、虫捕りは徹底的に「思い通りにならない」。じっと息を潜めても逃げられ、泥だらけになっても空振りに終わる。だが、幹のわずかな凹凸に隠れたナナフシを見つけ出した瞬間、あるいは指先で掴んだカブトムシの爪の痛烈な力強さを知った瞬間、子どもの瞳には強い光が宿る。予測不可能な自然と衝突すること。それこそが、どんなデジタル教材も代替できない教育の根幹だと、現場の熱気が雄弁に物語る。