成人が自然に身長を失っていく現象は、願望ではなく「老化」や「病理的変化」として現れます。医療現場の報告によると、50代半ばを過ぎた女性が健康診断で「数年で身長が2cm縮んでいた」と気付く事例は決して珍しくありません。
米国立加齢研究所(NIA: National Institute on Aging)の疫学調査データでも示されている通り、加齢による身長低下の主因は椎間板の水分保持能力低下(変性脱水)と、背骨を支える抗重力筋の衰えです。30代から70代にかけて平均して男性で約3cm、女性で約5cmの身長低下が観察されますが、数年で2〜3cm以上急激に縮む場合は、単なる加齢ではなく身長が縮む病気を強く疑う必要があります。
その代表格が、骨粗しょう症と圧迫骨折です。骨密度が著しく低下すると、重い荷物を持ち上げた瞬間やくしゃみをした衝撃だけで、背骨が押しつぶされるように骨折します。強い痛みを伴わず無症状のまま進行する「いつの間にか骨折」を起こしているケースが多く、背骨が次々と潰れて前屈(円背)することで、急激に背が縮んでしまうのです。その他にも、背骨の関節が固まって変形する強直性脊椎炎や側弯症の悪化など、身長が縮む生体現象の裏には必ず深刻な健康被害が潜んでいます。