生活者の間で根強く信じられている「三温糖は未精製だから茶色い」という認識は、製糖工学の観点からは明確な誤りです。農畜産業振興機構(alic)が公表している砂糖の製造フローを検証すると、上白糖も三温糖も、まったく同じ原料(サトウキビやテンサイ)から出発していることが分かります。
原料から不純物やミネラルを徹底的に取り除いた糖液から、最初に純度の高い結晶として取り出されるのがグラニュー糖や上白糖です。そして、白砂糖の結晶を遠心分離機で回収した後に残った糖液(糖蜜)には、まだ多くのショ糖が含まれています。この残った糖液を再び加熱して結晶を取り出す工程を幾度も繰り返す手法が取られます。「三温糖」という名称は、文字通り「糖液を三度煮詰めて(温めて)つくる」工程に由来しています。
では、なぜ三温糖はあの独特の茶褐色を帯びているのでしょうか。その正体は、加熱の繰り返しによって糖が熱分解を起こすカラメル化現象です。プリンのカラメルソースと同じ原理で、熱が加わることで糖が褐色に変化し、同時に特有の芳ばしい焙煎香が生まれます。つまり、三温糖の茶色は植物の天然ミネラルが残っている色ではなく、製造工程で意図的に生み出された「焦げ色(カラメル)」なのです。