危険物の引火点を正確に特定するため、JIS規格(日本産業規格)や消防法によって厳密な測定試験器と測定手順が規定されています。対象となる有機溶剤や油類の揮発性や測定温度帯によって、使用する機器が使い分けられています。
主な測定方式の特徴と測定機器の選定基準は次の通りです。
- タグ密閉式引火点試験器(Tag Closed Tester):引火点がマイナス30℃から93℃以下の比較的低い試料に用いられます。試料カップを密閉した状態で規定の速度で昇温させ、一定間隔で小さな火種を近づけて引火の有無を確認します。ガソリンや低沸点の有機溶剤の試験で重宝されます。
- ペンスキーマルテンス密閉式引火点試験器:引火点が40℃から370℃の重質油、燃料油、塗料などに適用されます。試料を撹拌翼で均一にかき混ぜながら加熱できる構造になっており、粘度の高い液体でも正確な測定が可能です。
- クリーブランド開放式引火点試験器(Cleveland Open Tester):主に引火点が79℃を超える高引火点物質(潤滑油、第4石油類など)の測定に用いられます。試料カップの上部を開放した状態で加熱し、液面の上を試験炎が通過する構造です。引火点だけでなく「燃焼点」の測定にも対応できます。
- 迅速平衡法(セタ密閉式引火点試験器):わずか数ミリリットルの微量サンプルを用い、短時間で引火点をスクリーニング測定できる機器として、近年の化学品安全管理(SDS作成など)で多用されています。
密閉式と開放式を比較した場合、密閉式のほうが蒸気が逃げないため、一般的に開放式よりも低い温度で引火が検出されます。安全データシート(SDS)の数値を読み解く際は、どの測定方法で得られた値であるかを確認することが不可欠です。