関東近郊の指定民間車検工場で20年以上のキャリアを持つベテラン整備主任者は、ハイマウントストップランプを巡る現場の過酷な実情について次のように語る。
「ユーザー車検でラインに入った一般ドライバーの方が、ブレーキを踏んだ瞬間に検査官から『はい、ハイマウント点いてないよ、裏回って見て』と言われ、呆然と立ち尽くす場面を何度も見てきました。本人は直前まで快調に走っていたつもりですから、まさかそんな小さなライト1つで車検に落ち、再検査用の限定自動車検査証を発行されるとは思ってもみないわけです」
さらに近年、検査現場で深刻化しているのが2024年10月から本格始動した「OBD車検(車載式故障診断装置を活用した電装系電子検査)」の波及影響である。現代のコネクテッドカーや高度運転支援システム(ADAS)搭載車では、灯火類もCAN通信ネットワークでボディ統合ECUと結ばれている。ハイマウントストップランプの不点灯や社外品粗悪LEDの装着による微弱な電圧異常、抵抗値のズレが、ECU内部に「DTC(故障コード)」として記録され、メーターパネルに原因不明の警告灯を点灯させる事態も報告されている。
ネットの知恵袋やコミュニティフォーラムを覗くと、「車検の時だけコネクターを抜いておけば、点いていないことがバレずに済むのではないか」といった危険な書き込みを目にすることがある。しかし、前述した通り「装着されているものは機能しなければならない」のが日本の車検の鉄則である。配線を抜いていれば「点かない不良」として即座に落とされるだけであり、一時しのぎの小細工は現場のプロには一切通用しない。