生命保険業界における対応のバラつきも、混乱に拍車をかけている。国内でトップクラスのがん保険シェアを誇るアフラック生命保険をはじめ、大手・外資系各社はそれぞれ独自の査定マニュアルと基準を保持している。
例えば、アフラック生命保険の契約では、契約した年代(旧約款か新約款か)によって「上皮内新生物」の定義や給付割合が大きく異なる。2000年代前半以前の古い約款では、上皮内新生物への支払いが一切存在しないタイプや、逆に「カルチノイド=悪性」としてスムーズに処理されていた時期の契約が混在する。一方、近年の改定約款では、病理診断書に記載された「ICD-10コード」や「浸潤の深さ」を厳格に機械照合するロジックが導入されている。
生命保険協会には、こうした「主治医はがん(悪性)だと説明したのに、保険会社から上皮内扱いとされて減額された」という苦情やADR(裁判外紛争解決手続)の相談が毎年一定数持ち込まれている。保険会社側も故意に支払いを拒んでいるわけではなく、自社約款と提出された診断書の文言に忠実な処理を行っているに過ぎない。だからこそ、契約者側の「提示の仕方」が極めて重要な意味を持つことになる。