モノづくりの街として知られる台東区・蔵前。かつて玩具や革製品の問屋街だったこのエリアは、ここ10年ほどで日本有数のサードウェーブ・クラフトコーヒーの拠点へと変貌を遂げた。しかし、2026年現在の蔵前は、ただ「おしゃれなカフェが集まる街」というステージをすでに脱している。
過度な浅煎りによる強い酸味を競い合う時代は終わった。今、人々が求めているのは、毎朝のルーティンとして身体が自然と欲する一杯だ。時代の過渡期において、揺るぎない軸を持ち続けてきた焙煎所こそが、目の肥えたコーヒーフリークたちの信頼を勝ち得ている。