多くの観光客が海岸線の美しさに目を奪われている裏で、内陸部では極めてダイナミックな都市構造の変化が進行している。その震源地となっているのが、広大な敷地を誇る九州大学伊都キャンパスの存在だ。世界屈指の研究機関が移転してきたことで、かつての長閑な丘陵地帯は、最先端の知と若きエネルギーが集まるサイエンスシティへと姿を変えつつある。
キャンパス周辺やJR筑肥線の沿線では、産学連携のインキュベーション施設や、学生・研究者向けのスマートレジデンスが次々と誕生している。糸島市役所の都市計画部門も、この知的なインフラを地域の産業育成と結びつけるべく奔走する。古い集落の伝統を守りながら、国際色豊かな研究者コミュニティを受け入れる。この絶妙なハイブリッド構造こそが、他地域の地方都市にはない糸島独自の推進力となっている。