親族の葬儀や法要、日々の供養において、真言宗の具体的な作法を知ることは参列者・施主双方にとって必須の知識です。特に現場で最も質問が多いのが真言宗の焼香回数と作法です。
焼香の作法:回数は「3回」が基本
真言宗の葬儀マナーにおける焼香は、原則として3回行います。この「3」という数字は、自身の「身・口・意」の三密を清めるとともに、「仏・法・僧」の三宝に帰依し供養することを意味しています。
- 焼香台の前へ進み、遺影および僧侶へ一礼する。
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香をつまみ、目の高さ(額の高さ)まで掲げて押しいただく。
- 香炉にくべ、これを計3回繰り返す。
- 数珠を両手にかけて合掌し、深く一礼して席へ戻る。
※なお、参列者が極めて多い大型葬儀では、寺院や斎場の指示により「1回」に短縮されるケースもありますが、本来の正式作法は3回であることを覚えておくと安心です。
真言宗の戒名と位牌の特徴
真言宗における戒名は、正式には「法名」ではなく「戒名」と呼びます。最大の特徴は、戒名の一番上に梵字の「ア字(大日如来を象徴する梵字)」を冠する点です(子供の場合は地蔵菩薩を象徴する「カ字」を用いることもあります)。これは「大日如来の弟子となり、その胎内に帰入した」ことを証明する崇高な印です。
位牌を仕立てる際も、白木位牌や本位牌の最上部にこの梵字が彫り込まれます。文字数は「院号+道号+戒名+位号」で構成され、9〜11文字程度が一般的です。
真言宗の仏壇飾り方(本尊と脇侍の配置)
家庭における真言宗の仏壇飾り方は、大日如来を中心に据えた「一尊二脇侍」の厳格な秩序に基づきます。
- 中央(ご本尊):大日如来(金剛界・智拳印を結ぶ坐像が一般的)。
- 向かって右側(右脇侍):弘法大師空海(両祖大師として崇敬)。
- 向かって左側(左脇侍):不動明王、または新義真言宗では興教大師覚鑁を祀る。派によっては観世音菩薩を配する場合もある。
お供えの基本は「五供(ごくう:香・花・灯明・水・飲食)」であり、毎朝の読経時には「南無大師遍照金剛」の宝号を3回または7回唱えることが日課の基本とされます。