ドラマ『過保護のカホコ』のクライマックスとなる第10話(最終回)は、視聴者の涙腺を崩壊させる名シーンの連続でした。物語の核心は、過干渉な母・泉(黒木瞳)の支配からカホコ(高畑充希)がどのように精神的自立を果たし、麦野初(竹内涼真)との結婚へと辿り着くかという点に集約されます。
祖母・初代(三田佳子)の他界をきっかけに、根本家や親族の間に潜んでいた不満や軋轢が一気に噴出。親族崩壊の危機に直面する中、カホコは「自分がみんなを幸せにする」と固く決意し、初とともに親族一人ひとりの問題に向き合っていきます。しかし、泉だけは初との結婚に頑として首を縦に振らず、「結婚式には絶対に出席しない」と宣言。婚姻届の証人欄への署名も拒み続けます。
迎えた結婚式当日、予期せぬアクシデントが次々と発生します。指輪の紛失、祖父の急病、ウエディングドレスの破れなど、式場はパニック状態に。その絶体絶命の窮地に現れたのが母・泉でした。泉は自ら針と糸を取り、破れたカホコのドレスを手際よく縫い直します。当時の撮影現場レポートによると、この無言でドレスを修繕するシーンにおいて、黒木瞳が見せた母としての葛藤と愛情が入り混じった眼差しは、カットがかかった瞬間にスタジオ中が息を呑むほどの迫真性を持っていたと記録されています。
「私はカホコを愛しすぎていたのよ」と本音を吐露した泉は、ようやく初を家族として認め、二人の結婚を祝福。亡き祖母の指輪を薬指にはめたカホコと初は、笑顔と涙に包まれながら永遠の愛を誓いました。母娘の精神的分離という過酷な課題を、温かな家族愛の昇華として描き切ったエンディングは、今なおホームドラマ史に残る傑作の結末として語り継がれています。