モルワイデ図法を特徴づける最大のシンボルが、世界全体をすっぽりと包み込む美しい外枠の楕円形です。球体である地球を一枚の平面に写し取る際、なぜ長方形でも円形でもなく、あえてこの楕円形が選ばれたのか――そこには綿密に計算された数学的必然性があります。
地球を平面に投影する際、赤道(外周)の長さは、北極から南極を結ぶ子午線(経線)の長さのちょうど2倍になります。モルワイデ図法ではこの比率をそのまま維持し、「赤道の長さ(長軸):中央経線の長さ(短軸)= 2:1」となる完全な幾何学的楕円を外枠に設定しました。半径 $R$ の地球の全表面積は $4\pi R^2$ ですが、長半径 $2R$、短半径 $R$ の楕円の面積も全く同じ $\pi \times (2R) \times R = 2\pi R^2$ (投影定数調整前)として比例関係が成立するため、地球全体の面積を過不足なく一枚の楕円の中に均等に収めることが可能になります。
さらに内部のグリッド構造にも独自の工夫が凝らされています。緯線はすべて赤道と平行な直線として引かれ、経線は中央経線を除いて等間隔の楕円弧を描きます。極に近づくにつれて緯線同士の間隔が狭くなっているのは、高緯度で経線が狭まる分、縦方向の長さを縮小させて「どこを切り取っても実際の面積比と一致させる(等積性を担保する)」ための高度な数式処理が組み込まれているからです。