ネット空間で情報が拡散される過程では、センセーショナルな見出しや極端な言説が一人歩きしがちです。産婦人科の臨床現場において、専門医たちはどのような見解を持っているのでしょうか。
産婦人科医師の共通した見解として挙げられるのは、「葉酸不足は障害の単独要因ではない」という点です。二分脊椎などの先天異常は、複数の遺伝的感受性と微量栄養素の相互作用によって発生します。葉酸を欠乏させたからといって即座に異常が生じるわけではなく、逆に指定量を完璧に摂取していたとしても先天的なトラブルを100%防ぐことは不可能です。
さらに見落とされがちな盲点として、「普段の食事からの摂取」が挙げられます。たとえサプリメントを口にしていなくても、日本人の一般的な食生活には、ほうれん草やブロッコリー、納豆、緑茶、イチゴなど、葉酸を多く含む食品が自然と組み込まれています。完全に体内の葉酸が枯渇している状態の人は、先進国の通常の食生活では極めて稀です。「サプリを飲んでいなかった=体内葉酸がゼロ」という認識自体が、ネット情報が植え付けた大きな誤解と言えます。
医師たちが口を揃えて強調するのは、母親の極度な不安やストレスによるコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が、胎盤の血流に与える物理的影響です。「過去の数週間の未摂取を嘆いてストレスをためるくらいなら、深呼吸して笑顔で過ごすことの方が、お腹の赤ちゃんにとって何倍も有益である」というのが、臨床の第一線に立つ医師たちの偽らざる本音です。