「妊娠15週に入った途端、朝の吐き気が嘘のように消えた」という声は、臨床の現場でも頻繁に耳にします。これは、妊娠初期に急増していたヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の分泌量がピークを過ぎ、胎盤の完成に伴ってホルモン供給の主役が移行する生理的プロセスによるものです。つわりが終わる兆候としては、食事のにおいに対する過敏さが和らぐ、朝の起き抜けの不快感が減る、倦怠感が抜けて食欲が戻る、といった段階的な変化が一般的です。
一方で、つわりが急激に消えると「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)の兆候ではないか」と強い恐怖を覚える妊婦も少なくありません。しかし、胎盤機能が順調に立ち上がっている証拠であることが大半です。母子手帳の記録や超音波検査で心拍が確認されていれば、過度に怯える必要はありません。
身体のシルエットにも明確な変化が現れます。子宮のサイズは大人の握りこぶし程度からグレープフルーツ大(子宮底長は約10〜13cm)へと拡大し、骨盤の縁を越えて恥骨の上にせり出してきます。特に経産婦におけるお腹の出方は、腹壁の筋肉や子宮筋が一度伸びた経験があるため、初産婦に比べて1〜2週間早くふっくらと前に突き出す傾向があります。初産婦の場合は「少し下腹部がぽっこりしてきた」「普段のデニムがきつくなった」という程度ですが、着実にお腹の中の環境はダイナミックに変化しています。